公開日: 2023.05.12 更新日: 2024.05.10
医療DXとは|現代医療が抱える課題や医療DXを推進するメリットも
近年、企業の生存率を高める方法として注目されているDXは、医療業界でも進められています。医療業界においても、日々進化を続けるデジタル技術を用いることで、業務フローの改善や新たなビジネスの創設などが可能です。
当記事では、医療DXの意味と目的、現代医療の課題、医療DXを推進するメリットを詳細に解説します。医療DXの推進にあたって必要とされる、予約システムについても紹介するため、DX推進を検討している医療機関の経営者の方は、ぜひご一読ください。
1.医療DXとは
「医療DX」とは、医療機関が最新のデジタルテクノロジーを活用してサービスを変革し、より良質な医療ケアを提供することです。
DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称で、デジタル技術を駆使してビジネス・社会・生活の形を変えることを意味しています。これを、病院・薬局・訪問看護ステーションなど、各医療現場に当てはめたものが医療DXです。
具体的には、保健・医療・介護におけるさまざまなデータ保存を外部化・共有化・標準化させ、質の高い診察・きめ細やかな治療対応が提供できる社会の形作りを目指します。
1-1.DXとデジタル化の違い
デジタル化とは、従来アナログで行っていた作業を電子化することです。一方、DXは従来の業務のあり方を見直しデジタル技術を用いて再構築することを指します。
DX | |
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概要 | Digital(デジタル)×Transformation(変革) |
目的 |
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例 |
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デジタル化 | |
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概要 | Dのみ、組織変革は不要 |
目的 |
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例 |
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デジタル製品の費用が追加計上され反復業務の負担が軽減するものの会社としての業務形態に変化がないのが「デジタル化」です。一方で「DX」は単なるデジタル化にとどまらず、経営モデルや組織変革を目標に、医療提供状の課題解決を目指します。
2.現代医療の課題と医療DXの方向性
医療DXに注目が集まっている背景には、現代日本の医療業界が抱える3つの課題があります。
【現代医療の課題】
- 医療費抑制対策による医療機関の経営悪化
- 医療従事者不足
- 新型感染症の流行への対応
高齢化が進む中、高齢者数の増加にあわせて医療費も年々増大し、財政を圧迫しています。この状況を打開するべく国が医療費抑制対策を推進したことで、多くの医療機関が経営悪化に陥っている状況です。加えて、少子化が医療従事者の不足を深刻化しています。
医療ニーズが増加しているにもかかわらず、思うように収益が出ない・人手も足りないという負のループが大きな問題となっています。
新型コロナウイルス感染症の流行では、社会全体のシステム整備の弱さが浮き彫りとなりました。また、感染症指定医療機関に患者が集中する一方で、小規模医療機関の多くが深刻な経営難に直面した点も問題視されています。
政府は、DXを通して現代医療の課題を解決して国民がより良質な医療やケアを受けられるよう社会や生活の形を変えていく「医療DX令和ビジョン2030」を掲げました。政府主導の元、行政と関係業界が一丸となることで、医療のDX化は加速していくものと推察されます。
3.医療DXを推進するメリット4つ
個々の医療機関が医療DXを推進することで、現代の医療が抱えるさまざまな問題の解決につながります。具体的には、オンライン診療・薬剤のオンライン処方・地域医療機関との情報連携など、望まれていたものの実現が難しかったさまざまな医療サービスの実装が可能になります。
医療DXの導入で医療機関が得られる具体的なメリットを4つ解説します。
3-1.現場業務の効率化
従来、人の手で行われてきた事務関係の諸業務をデジタルツールで自動化させることで、現場の作業効率は大幅に向上します。
対象 | 予約管理、医療物資の在庫管理・発注、診療報酬明細の作成、カルテの入力・管理、検査データの管理 |
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メリット |
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変革例 |
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カルテやレセプトの電子化は、検索性の向上や検査データとの紐づけなど多くのメリットがあります。電子化で業務効率化を図ることで、より良い医療提供体制の構築や人材確保が期待できるでしょう。
3-2.医療情報ネットワークの構築
小規模病院・総合病院・薬局・介護施設などの医療機関や関係業界同士で情報を共有できる環境を整えることで、多方面にさまざまなメリットが生まれます。医療DXの推進が目指す最終地点は、「医療情報ネットワークの構築」の実現にあるとも言われています。
対象 | メリット |
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国 |
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医療機関 |
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患者 |
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医療情報ネットワークの構築は、個々の医療機関をはじめ、すべての人にとってプラスに働きます。台湾やアメリカ、ドイツなどの医療先進国では既に実装されており、高い効果を発揮しています。
3-3.オンライン診療の実用化
医療現場のDX事例として多いのは「オンライン診療」の導入です。ICT(情報通信技術)を活用した遠隔診療は、医療従事者側・患者側 双方に大きなメリットをもたらします。
■オンライン診療のメリット
患者 | 医療機関 |
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また、居住地を問わず受診が可能になるため、地域の医療格差問題の解決につながります。
3-4.予防医療の実現
多くの医療機関でDXが推進されることで、膨大な医療データの分析・研究が可能になります。集積されたビッグデータを、AI(人工知能)技術を使って解析し新薬の開発や病気の早期発見・正しい判断をサポートします。
他にも、スマートフォンのアプリやウェアラブル端末が集めた身体データを医療に生かそうという動きも出てきました。病気になってから治療するのではなく「生活習慣病や疾患を未然に防ぐ」という新しい医療の形に期待が高まっています。
4.医療DXを加速する予約システムの導入
医療DXを実施する具体的な方法は、電子カルテや自動精算システムの導入などさまざまです。中でも予約システムは、事務作業の効率化という成果が出やすいことに加えて患者さん側のメリットも大きいため、DX化のスタートとして導入する医療機関が増えています。
予約システムを導入するメリット |
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医療機関が予約システムを導入する際は、セキュリティ性が高く安心して利用できるサービスを選びましょう。
「リザエン」では、サーバーの24時間365日監視、定期バックアップ、SSLによる通信暗号化、操作ログの取得など、高水準のセキュリティレベルを実現しています。
「予約台帳」と「予約サイト作成」の機能を組み合わせて使うことで、従来の電話や窓口での次回の来院予約と合わせた一元管理が可能です。受付スタッフの効率化はもちろん、院内全体での予約の見える化が実現します。
まとめ
医療DXとは、医療機関が最新のデジタルテクノロジーを活用し、患者さんにより良い医療ケアを提供することを言います。国は、医療費抑制対策による機関の経営悪化や医療従事者不足、新型感染症への対応における課題を解決するべく、「医療DX令和ビジョン2030」を掲げています。
医療DXの推進には、現場業務の効率化や情報ネットワークの構築、オンライン診療・予防医療の実現といったメリットがあります。
医療機関に予約システムを導入することで、医療DXを加速させることが可能です。リザエンでは24時間365日サーバーを監視し、定期的にバックアップするなど高水準のセキュリティを実現しつつ、予約情報の一元管理ができる予約システムを取り扱っています。