公開日: 2022.08.02 更新日: 2024.05.10
【病院・診療所】待ち時間への対策方法|体感時間を軽減する方法も
病院における長い待ち時間は、患者さんにとって肉体的にも精神的にも大きな苦痛です。重い症状がある場合は、待合室で座って待機することでさえも辛いものです。また、小さな病院では、席が空いておらず立ったまま待たされるケースもあります。さらに感染症が流行っている時期では、「多くの患者さんと一緒に待つことで、感染症がうつるのではないか」という不安もあるでしょう。
そこで今回は、病院の待ち時間についての実情から、待ち時間が長くなる原因、待ち時間短縮につなげるための対策方法まで詳しく紹介します。待ち時間を極力減らし、患者さんにとって安心できる病院を作りたい方は、ぜひご覧ください。
1.患者さんはどの程度待たされているのか?
患者さんが病院に来院した際に、待たされている時間について実際のデータに基づいて紹介します。下記の表は、厚生労働省が公表している2020年の「受療行動調査」のデータです。病院に到着してから診察までに要する待ち時間を示しています。
15分未満 | 15分〜30分未満 | 30分〜1時間未満 | 1時間〜1時間30分未満 | 1時間30分〜2時間未満 | 2時間〜3時間未満 | 3時間以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
総数 | 27.9 | 25.8 | 20.9 | 10.1 | 6.4 | 3.6 | 1.8 |
特定機能病院 | 24.2 | 23.2 | 22.0 | 11.5 | 8.1 | 5.5 | 2.4 |
大病院 | 26.4 | 24.4 | 21.1 | 11.2 | 7.0 | 4.6 | 2.2 |
中病院 | 25.9 | 24.8 | 22.1 | 10.7 | 7.0 | 4.0 | 1.9 |
小病院 | 28.5 | 28.5 | 22.1 | 8.7 | 5.0 | 2.1 | 1.1 |
療養病床を有する病院 | 33.0 | 27.8 | 18.1 | 8.6 | 5.1 | 2.6 | 1.4 |
出典:厚生労働省「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況-結果の概要」
どの病院も15分未満〜1時間未満の割合が7割前後を占めていますが、その一方で、1時間を超える長い時間待っている患者さんもいるというのが現状です。総数を見ると、1時間以上の待ち時間が発生している病院は、全体の21.9%にもおよびます。
続いて、下記の表は、診察までの待ち時間に対する患者さんの満足度についてのアンケート結果です。
「満足」と回答した割合 | 「ふつう」と回答した割合 | 「不満」と回答した割合 | |
---|---|---|---|
2020年 | 32.8 | 41.2 | 23.9 |
2017年 | 28.9 | 39.9 | 26.6 |
2014年 | 28.0 | 39.9 | 27.6 |
出典:厚生労働省「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況-結果の概要」
待ち時間に対する不満を感じている患者さんは、どの年も全体の2割以上を占めています。このようなデータから、病院の待ち時間に不満を感じている患者さんは少なくないことがお分かりいただけるでしょう。
1-1.長い待ち時間の原因
病院の待ち時間が長くなるのは、混雑する時間帯を周知していないことが原因となっている可能性があります。
病院には、混雑しやすい時間帯と比較的空きやすい時間帯があります。混雑状況を周知していない場合、患者さんが空いている時間を選べないため、混みやすい時間にますます人が押し寄せることになるでしょう。
また、診察時間が長いことも原因として考えられます。患者さんに丁寧に接することは大切ですが、待っている患者さんのことも考えると、長すぎるのもよくありません。混雑している時間は、最小限の時間で診察を行う必要があります。
2.患者さんが感じる待ち時間の不満を軽減する対策方法2選
待ち時間そのものを短くするというのは、簡単にできることではありません。しかし、患者さんが待ち時間を長いと思うかどうかは、患者さん自身の主観的な感じ方によっても異なるものです。患者さんに「待ち時間が短い」と感じてもらえるような配慮を病院側が行うことで、実際の待ち時間は短縮できなくても、心理的な待ち時間の長さを軽減することが可能となります。
ここでは、患者さんが体感する待ち時間の負担を軽減するための方法について、2つ紹介します。
2-1.テレビや雑誌などを用意する
何もせずにひたすら順番を待っていると、余計に待ち時間が長く感じます。他にすることがないと、「待たされている」という意識が強くなり、患者さんのストレス増加やそれによるクレームにもつながりやすくなります。患者さんがストレスなく待てるよう、テレビや雑誌といった暇つぶしの道具を用意しましょう。
特に小さな子どもは待ち時間にストレスを感じやすいため、新聞や雑誌だけではなく、絵本のような子ども向けの本も忘れずに用意する必要があります。
また、現代はスマホで暇をつぶす患者さんも少なくありません。快適に動画視聴やゲームを楽しめるように、フリーWi-Fiを設置するのも対策方法の1つです。他にも自動販売機やウォーターサーバーを設置するなど、快適に過ごすための設備を用意するのも、待ち時間の不満を軽減する効果があります。子ども連れの患者さんのために、遊んで過ごせるキッズスペースなどの場所を用意するのもおすすめです。
2-2.混雑状況を周知する設備を導入する
残りの待ち時間が分からないと、同じ待ち時間であっても余計に時間が長く感じます。混雑状況や待合状況をお知らせできる設備を導入することで、「どのくらい待つのか分からない」という待ち時間に対する心理的なストレスを軽減することが可能です。
待ち時間を周知する設備の具体例として挙げられるのが、受付の発券機と順番表示システムです。
発券機と順番表示システムを導入することで、患者さんが訪れた際に番号札が発券され、順番が来た際に、ディスプレイに受付番号が表示されるようになります。数字で順番が可視化されることで、どの程度待てば順番になるのか分かるようになり、心理的ストレスを軽減することにつながります。
3.待ち時間対策に欠かせない「患者数の平準化」
病院の患者数を平準化することも、患者さんの待ち時間を減らす上では効果的です。患者数の平準化とは、曜日・時間帯などによる来院数の差を均一化することです。
病院の比較的混雑しにくいタイミングに患者さんを呼び込むことで、混雑しやすい曜日や時間帯に患者さんの数が偏るのを防げるようになります。患者数の偏りがなくなることで、「いつ訪れても待ち時間が同じくらい」という状態になり、待ち時間が極端に長くなるタイミングを減らすことが可能です。
平準化を行うことには、患者さんの待ち時間減少以外にもさまざまなメリットがあります。過度に混雑するタイミングがなくなることで、医師や院内の医療スタッフがキャパオーバーになる状態を防ぐことが可能です。スタッフは適度な余裕を持って働けるため、ストレスなく業務を進められるようになります。また、極端に多忙な時間が減ることで業務改善にもつながり、ケアレスミスが発生する確率も減少するでしょう。
病院における患者数の平準化を実現するためには、混雑しやすい時間帯の患者数を減らし、空いている時間帯に患者さんを誘導することが重要です。
3-1.患者数の平準化を実現する「予約システム」
患者数を平準化する上で最も効果的な取り組みの1つが、予約システムの導入です。予約システムを導入することで、「比較的空いている曜日・時間帯は予約枠を増やし、混みやすいタイミングは予約枠を減らす」といった調整が自由に行えるようになります。
空きやすい時間帯の予約枠を多めにし、混雑しやすい時間帯の予約枠を少なめにすることで、普段であれば空いている時間帯に患者さんを誘導することが可能です。予約システムを定期的に調整する中で、患者数が平準化される予約枠の振り分け方を分析しましょう。
予約システム導入によって待ち時間を減少させたい方には、「リザエン」がおすすめです。リザエンは、直感的な操作画面で手軽に利用できる予約システムです。診察時間や診療科の異なるメニューに応じて、柔軟に予約カレンダーを作成することができます。
まとめ
患者さんにとって、病院の長い待ち時間は苦痛に感じるものです。待ち時間を短く感じさせるためには、暇をつぶせるものを用意したり、待ち時間を可視化できるシステムを導入したりするといった対策が欠かせません。
また、待ち時間を少しでも減らすためには、予約システムで患者数を平準化することも大切です。予約システム「リザエン」を活用して、効果的に患者数を平準化させましょう。リザエンでは病院の混雑状況を確認できるため、患者さんが分散されやすく、特定の時間の混雑を防ぐことができます。順番待ちによる患者さんのストレスを減少させたい病院経営者の方は、ぜひリザエンの導入を検討してください。