公開日: 2024.04.23 更新日: 2024.05.28
キャンセル料を払わないお客様への対処法・対策を解説
キャンセルしたにもかかわらず、キャンセル料を払わないお客様がいます。「サービスを受けていないのに、なぜ料金を払わなければならないのか」とクレームを訴えるお客様も少なくありません。しかし、お店にとってはキャンセル料を回収しなければ、キャンセルによる損失をカバーできません。
この記事では、キャンセル料を払わないお客様への対処法・対策について、詳しく解説します。また、無断キャンセルの防止に役立つ事前決済制に対応した予約システムについても紹介するので、ぜひご覧ください。
1.キャンセル料の支払いは義務?法律の規定を解説
最近ではWebサイトやアプリを通して簡単にホテル・飲食店などを予約できるため、キャンセル時のキャンセル料の支払いは必須ではないと考える人も少なくありません。しかし、キャンセル料の支払いは単に店舗側が定めたルールではなく、法律に基づいたお客様の義務です。
ホテルや飲食店などの予約は、店舗とお客様とのれっきとした「契約」です。そのため、基本的には予約成立時点でお客様には予約を履行する義務が発生しており、無断での予約キャンセルは債務不履行に当たります。
民法では、債務不履行による損害賠償請求について以下のように定めています。
■民法 第415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
引用:e-Gov法令検索「民法」 引用日2024/3/3
無断キャンセルによってお店に損害が発生した場合、店側は債務不履行に基づく損害賠償請求権によりキャンセル料を請求することが可能です。お客様には、キャンセル料の支払い義務が発生します。
ただし、債務不履行の理由が社会通念上債務者の責めに帰す事由ではない場合は、例外的に損害賠償の支払い義務が免責される場合があります。つまり、キャンセル理由が大規模な自然災害などのようにお客様を責められない事情であれば、キャンセル料の請求はできません。
1-1.キャンセル料の請求にはキャンセルポリシーが必須
キャンセル料の支払いは法律に基づいた予約者の義務である一方、店舗側がキャンセル料を請求するには、キャンセルポリシーの設定が必要です。
キャンセルポリシーとは、予約のキャンセルに関する細かな条件を定めたルールです。具体的には、以下のような内容を定めます。
- キャンセル料なしでキャンセルを受付可能な期間
- キャンセル料が発生する期間と金額
- キャンセルの連絡方法
- キャンセル料の請求方法
キャンセル料金については「予約日3日前からは予約プラン金額の20%、前日は50%、当日・無断キャンセルは100%」のように明確な基準を設定します。
キャンセルポリシーを定めておけば、キャンセルの方法を分かりやすくお客様に伝えられるとともに、キャンセルに関するトラブルを未然に防止することが可能です。
2.キャンセル料を払わないお客様への対処法
キャンセル料の支払いは予約者の義務ですが、実際には支払い請求の連絡を無視する・キャンセル料の支払いを拒否するというお客様も少なくありません。ここでは、キャンセル料を支払わないお客様への対処方法について詳しく解説します。
2-1.弁護士に相談する
お店からの支払い請求に応じてもらえない場合、支払いの交渉を弁護士に依頼して進めることが有効です。
キャンセル料を支払わないお客様は、キャンセル料の支払い拒否が法律上問題となることを認識していないケースが多いでしょう。実際に、弁護士がお客様にキャンセル料の支払いを求めた場合、訴訟を恐れてすぐに支払いに応じてもらえたという事例も少なくありません。
店舗から何度連絡を重ねてもキャンセル料が支払われない場合は、請求を続けても応じてもらえない可能性が高いと考えられます。「連絡を複数回無視されている」「支払いを拒否された」というときには、早い段階で弁護士に相談するのがよいでしょう。
注意点として、キャンセル料が少額の事案では、費用倒れのリスクから依頼を引き受けてもらえない可能性もあります。通常の法律事務所での対応が難しいときは、弁護士が運営するキャンセル対策サービスを利用するのも1つの手です。
2-2.冷静に対応する
キャンセル料を店舗スタッフが請求する際は、脅迫・恐喝などに当たらないよう、言動に注意しながら冷静に対応することが重要です。
お客様へのキャンセル料請求は法律に基づいた正当な行為ですが、度が過ぎると店舗側が罪に問われるケースもあります。たとえば、「支払いに応じるまでお店から出さない」「職場に未払いの事実を伝える」などの発言は脅迫罪に当たる可能性があります。
キャンセル料請求の際は、丁寧な言葉で冷静に対応しましょう。
また、請求時に言動に注意していても、「脅された」「恐喝された」と主張するお客様もいます。会話の内容を録音するなどして、請求時の状況を残しておくのがおすすめです。
万が一お客様とのトラブルに発展してしまった場合には、お店の口コミページやSNSなどに悪質な投稿がされていないかについてもチェックしましょう。
3.キャンセル料を払わないお客様への対策
無断キャンセルはお店にとって大きな損害となります。キャンセル料の回収に関するトラブルを未然に防ぐためには、予防措置を講じておくことが重要です。ここでは、キャンセル料を支払わないお客様への具体的な対策について詳しく解説します。
3-1.無断キャンセル保険を利用する
無断キャンセル保険を利用することで、キャンセル料を回収できない場合の損失補償が可能です。
無断キャンセル保険とは、無断キャンセルによってキャンセル料を回収できないときに補償金を受け取れる保険です。補償金については予約者1人あたりの補償料金や1店舗あたりの補償上限金額が設定されているほか、受け取りの条件として予約内容・予約人数の規定が定められています。
無断キャンセルが発生した際は、予約時に確認した連絡先に電話をかけても無視されることがほとんどです。連絡が取れなければキャンセル料の請求自体が難しく、回収を諦めざるを得ません。
無断キャンセル保険に加入しておけば、お客様と連絡が取れない場合でも補償金を受け取れます。予約内容によっては補償金でキャンセル料の全額をカバーできないケースもありますが、損失額を減らせるのは大きなメリットです。
3-2.事前決済制を採用する
無断キャンセルの予防措置として、予約時の事前決済制を導入するのも有効な方法です。
事前決済制とは、お客様が予約時点で料金支払いを済ませるシステムを指します。決済代行サービスや予約管理システムによって事前決済制を導入すれば、予約段階でクレジットカードなどから料金を回収できます。
事前決済により回収した料金は、予約の担保としての役割を果たすのが特徴です。お客様は予約段階ですでに支払いを終えていることから、キャンセルを防ごうとするでしょう。また、万が一無断キャンセルが発生した場合でも、店舗は支払い済みの料金の中からキャンセル料を確実に回収できます。
事前決済制を導入することで、「無断キャンセルそのものを防ぐ効果」と「キャンセル料の未回収を防ぐ効果」の2つの効果を得られるでしょう。
4.事前決済制に対応した予約システム「リザエン」
無断キャンセルのリスク低減のため事前決済制を採用する場合は、予約システムを導入するのがおすすめです。予約システム「リザエン」を利用すれば、簡単・スピーディーに事前決済制を導入できます。
リザエンは200以上のあらゆる業種で活用できる予約システムであり、大手企業や官公庁でも導入されています。予約情報を一元管理できるほか、予約サイトの作成やシステムのカスタマイズも可能です。
また、リザエンではアメリカのオンライン決済サービスである「Stripe決済」が利用できます。Stripe決済はアメリカや日本をはじめとする世界120か国で事業を展開しており、グローバル基準の高いセキュリティ性を誇ります。
Stripeのアカウントを開設するのみですぐに事前決済を導入できる上、他の決済代行サービスと比較して決済手数料が安い点が魅力です。
まとめ
お客様の都合でサービスの利用をキャンセルした場合、キャンセル料の支払いはお客様にとって義務です。民法に規定されている通り、お客様の債務不履行によりお店側には損害賠償請求権が発生します。それがキャンセル料です。
無断キャンセルによりキャンセル料を払おうとしないお客様がいます。無断キャンセルを防ぐためには、事前決済制の導入がおすすめです。予約システムのリザエンでは、Stripe決済により事前決済制を導入できます。事前決済制の導入を検討している場合は、リザエンの利用をご検討ください。