公開日: 2024.03.18 更新日: 2024.03.08

店舗DXとは?導入する目的やメリット・デメリットと導入事例を紹介

COLUMN

店舗DXとは?導入する目的やメリット・デメリットと導入事例を紹介

近年、店舗経営における競争はますます激しくなり、従来の手法だけではなく、革新的なアプローチが求められています。その中で注目されているのが、店舗DXです。店舗DXは、「店舗Digital Transformation」の略であり、デジタル技術を駆使して店舗の業務や顧客サービスを革新する取り組みを指します。

この記事では、店舗DXの意味について詳しく解説します。また、店舗DXを導入する目的やメリット・デメリット、店舗DXの導入事例についても取り上げるので、ぜひご覧ください。

1. 店舗DXとは?

店舗DXとは、実店舗型ビジネスにDX(Digital Transformation)を導入することです。DXとは、デジタル技術やデータを活用して製品・サービス・ビジネスモデルなどを改革し、市場競争力を強化する取り組みを意味します。DXを推進する上では顧客ニーズの変化に対応する目的で、企業文化や風土を変革することも必要です。

出典:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」

DXは「デジタル化」や「IT化」と混同されるケースもあるものの、最終的な目標は異なります。デジタル化やIT化の最終的な目標は、業務効率化や生産性の向上です。DXでは市場競争力の強化を最終的な目標としてデジタル技術やデータを活用し、さまざまな施策を実施します。

1-1. 店舗DXには大きく分けて2種類ある

店舗DXで取り組む施策は、「オンライン型(店舗体験)」と「オフライン型(店舗運用)」の2種類に分類できます。オンライン型店舗DXとは店舗そのものや一部のサービスをDX化して顧客に対し、新しい価値や体験を提供することです。以下は、オンライン型店舗DXに含まれる施策例を示しています。

  • ECサイト、バーチャルショップの構築
  • チャットボットによる問い合わせ対応

バーチャルショップとは、VRや3D技術を活用してインターネット上に構築する仮想店舗を意味します。チャットボットとは公式Webサイトなどに設置して、顧客の問い合わせに自動対応するシステムです。

オフライン型店舗DXとは、リアル店舗に来店する顧客に対してデジタル技術を活用し、新しい価値や体験を提供することを指します。オフライン型店舗DXに含まれる施策の例は、以下の通りです。

  • キャッシュレス決済への対応
  • セルフレジ、セルフオーダーの導入
  • ポイントカードのアプリ化

キャッシュレス決済を導入すると顧客に、現金のやり取りを行わずに買い物できる体験を提供できます。セルフレジとは、顧客自身が会計を行うレジのことです。セルフレジを導入するとレジ待ち時間を短縮でき、スピーディーに買い物できる価値を提供できます。

店舗業務の一部をDX化して業務効率化やサービスの質向上につなげる施策も、オフライン型店舗DXの一種です。会員証の電子化・受発注システムや売上管理システムの導入などが施策の具体例にあたります。

2. 店舗DXを導入する目的とは?

店舗DXは顧客ニーズや社会の変化に対応し、時代に沿った店舗づくりを行うために役立つ取り組みです。あらゆる業界でDX化が推進されている理由やデジタル技術による業務改善の狙いを理解し、店舗DXの必要性を今一度見直しましょう。

2-1. 人手不足に対応するため

スムーズに店舗運営するためにはパートやアルバイトスタッフも含め、多くの人手を確保する必要があります。しかし、現在の日本はすべての業界において、深刻な人手不足が発生している状況です。

厚生労働省の調査によると2023年6月時点において日本では、約149万人の人手が不足しています。宿泊業・飲食サービス業・卸売業・小売業は特に、人手不足が深刻です。

出典:厚生労働省「令和5年上半期雇用動向調査結果の概要」

少子高齢化が進行すると人手不足がより深刻化し、店舗運営に支障が生じる可能性も否めません。社会構造が変化しても安定的に店舗運営するためにはDX化を推進して、ビジネスの省力化を図る必要があります。

2-2. ECサイトを利用する顧客に対応するため

インターネットやスマホの普及によって顧客の購買行動が変化し、ECサイトの利用者が増加したことも、店舗DXの必要性が高まった要因の1つです。

経済産業省の調査によると、2022年時点におけるECサイトの市場規模は約22.7兆円です。以下は、ECサイトを利用する顧客が特に多い製品・サービスのカテゴリーを示しています。

  • 食品、飲料、酒類
  • 生活家電、AV機器、PC・周辺機器等
  • 衣類・服装雑貨等
  • 生活雑貨、家具、インテリア

出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」

加えて近年はサブスクリプションサービスの普及も影響し、製品・サービスを販売すること自体の難易度が上がっています。容易に製品・サービスを販売できない時代に店舗の売上を維持・向上させるためにはDX化によって付加価値を生み出し、顧客の心を動かす戦略が必要でしょう。

2-3. 非接触・非対面のニーズに対応するため

店舗DXは非接触・非対面サービスに対する需要の高まりも受け、推進されている取り組みです。新型コロナウイルス感染症の流行によって、非接触・非対面サービスの利用を希望する顧客は増加しました。顧客ニーズに対応する目的で一部の飲食店や小売店は、キャッシュレス決済やセルフレジを導入しています。飲食店のセルフオーダーも非接触・非対面型サービスへの切り替えを進めるため、一般化した仕組みです。

非接触・非対面型サービスには顧客の利便性が高まるメリットもあることから、アフターコロナの現在においても、一定のニーズが見込まれます。現在の顧客ニーズに沿ったビジネスを展開するためには店舗DXを導入し、非接触・非対面型サービスの提供体制を整備することが重要です。

3. 店舗DXを導入するメリット

店舗DXは顧客と店舗の両方にとって、多種多様なメリットが期待される取り組みです。以下では、店舗DXを導入する店舗の経営者が理解しておきたい主なメリットを解説します。

3-1. 人手不足を解消できる

店舗販売や予約受付に店舗DXを導入すればビジネスの省人化を実現でき、人手不足の解消を図れます。人手不足を解消すると従業員一人ひとりの業務負荷は軽減されて、残業時間の抑制も可能です。残業時間を抑制すると、人件費の削減効果も狙えます。

過剰な残業が発生しない働きやすい職場をつくることは、新規人材採用の難易度を下げるためにも重要な取り組みです。店舗DXを導入することでより多くの優秀な人材を確保できれば、市場競争力は高まるでしょう。

3-2. ヒューマンエラー防止になる

従業員が手作業で行っている業務をデジタルツールに任せれば、ヒューマンエラーを防止できます。ヒューマンエラーとは、想定外のミスやトラブルにつながる人間の行為です。ヒューマンエラーは主に、以下の理由で発生します。

  • 記憶違い
  • 見逃し、聞き間違え
  • 作業の手抜き、規則違反

上記のいずれかが理由で発生するヒューマンエラーも、手作業をなくすもしくは減らすことで防止が可能です。ヒューマンエラーを防止すれば、クレーム対応にかかる時間と労力も削減できます。

3-3. 機会損失・廃棄ロスを防げる

店舗業務のDX化として在庫管理システムを導入すると、欠品による機会損失と廃棄ロスの両方を回避できます。在庫管理システムとは主に、以下の機能が搭載されたシステムです。

  • 入出庫管理機能
  • 検品機能
  • 在庫一覧機能
  • 棚卸機能
  • 在庫分析機能

在庫一覧機能とは、製品ごとや保管場所ごとの在庫状況を一覧表示する機能です。在庫一覧機能を活用すると、在庫状況をリアルタイムで正確に把握できます。

在庫分析機能はシステム内に蓄積したデータを分析し、需要予測を行える機能です。システムによる分析結果を参考にして仕入れ量を調整すれば、廃棄ロスを抑制できます。

飲食店やアパレル店舗では、ベテラン従業員や店長の勘に頼って仕入れを調整することも珍しくはありません。システムの情報を参考にすれば、より合理的な仕入れを行うことが可能です。

3-4. 顧客満足度が向上する

店舗DXを導入して顧客ニーズに沿った施策を実践すると、顧客満足度の向上を図れます。たとえば、顧客の都合の良い時間に店舗の予約を行いたいというニーズがある場合は、店舗DXの取り組みとして、予約システムを導入する施策が選択肢の1つです。

予約システムでは大量の顧客情報を一元管理し、マーケティング活動に活用することもできます。蓄積した顧客情報をもとにより良いサービスを開発すれば、顧客満足度の更なる向上を図ることが可能です。顧客情報を活用して販売促進活動を効率化すれば、限定的な予算の範囲で店舗の集客力を高められる可能性もあります。

ECサイトや店舗の公式Webサイトでスムーズに問い合わせ対応を受けたいニーズがある場合は、チャットボットを活用する施策が一案です。チャットボットを活用すると営業時間外にも自動で問い合わせ対応を行え、顧客満足度の向上を図れます。

3-5. 従業員教育や業務を効率化できる

人手不足が深刻な店舗ではベテラン従業員が日常業務に追われて、十分な従業員教育を行えないケースもあります。従業員教育をDX化すれば、無理なく新規採用した人材に業務の流れや接客方法を教えることが可能です。

デジタルツールを利用した従業員教育には、以下のメリットも期待できます。

  • 隙間時間に学習を進められる
  • 理解するまで繰り返し視聴できる
  • 教育内容や質を均一化できる

たとえば、オンラインの動画マニュアルを活用して従業員教育を行う仕組みを導入すると、指導を受ける側の都合に応じ、自由なスタイルで学習を進めることが可能です。動画を視聴した際に理解しにくく感じる部分は、巻き戻して繰り返しの学習を行えます。

店舗DXでは従業員教育以外の業務にもデジタルツールを活用し、効率化を進めることが可能です。たとえば勤怠管理システムを導入すると、シフトの作成や給与計算業務を効率化できます。

4. 店舗DXを導入するデメリット・注意点

店舗DXにはさまざまなメリットが期待される反面、デメリットや注意点もあります。店舗DXの導入で後悔しないためにも、以下のデメリットや注意点を理解しておきましょう。

4-1. システムの導入・運用コストが発生する

店舗DXでシステムを導入する際には多くの場合、一定の初期費用が発生します。初期費用の金額はシステムの種類や必要機能によって異なるものの、数万円程度かかることが通常です。大掛かりなシステムを導入する場合には、100万円程度のコストがかかることも珍しくはありません。導入したシステムを継続的に利用するためには初期費用とは別途、運用コストも発生します。

システムの導入や運用には安くない費用がかかるからこそ、デジタルツールの安易な活用は避けましょう。限定的な予算で店舗DXを導入し、店舗の利益につなげるためには、従業員の手作業で行う業務とデジタルツールに任せる業務を明確に分けることがおすすめです。デジタルツールに任せたい業務が複数ある場合は優先順位を考えて、費用対効果の高い施策から順番に取り組みましょう。

4-2. 効果を実感するまで時間がかかる

店舗DXの効果を実感するまでには多くの場合、3~5年程度の期間がかかるとも言われます。店舗DXを導入する際には長期的な取り組みになることを理解した上、十分な予算と人手を確保しましょう。

店舗DXの導入直後は業務の進め方が大きく変化し、従業員に負担をかける可能性もあります。いち早く業務の進め方に慣れさせて店舗DXの効果を実感するためには、事前に狙いを説明し、協力を得るステップも欠かせません。

店舗DXの導入後は内容を振り返り、費用対効果を検証しましょう。費用対効果が薄い場合は施策を見直し、より良い内容へのブラッシュアップを図ってください。

4-3. DX化に対応した人材の採用・育成が必要

店舗DXの導入を成功させるためには、以下の知識やスキルを持った人材が必要です。

  • 最新のデジタル技術に関する知識
  • プロジェクトマネジメントスキル
  • データサイエンス分野の知識
  • システムやサービス設計に関する知識

店舗に適任者がいない場合は、店舗DXに精通した人材を採用もしくは育成する方法が選択肢です。しかし、上記の知識やスキルを持った人材に対する需要は高く、適任者をすぐに確保できるとは限りません。適任者を育成する場合にも、一定の時間とコストが必要です。

さらに、店舗業務のDX化を進める際には、仕事内容や作業の流れを理解している人材の協力も欠かせません。DX化に合わせてシステムの入れ替えを行う場合は、既存のシステムに精通した人材を巻き込み、施策を進める必要があります。

5. 店舗DX導入事例3選

リザエンは予約の受付・管理から顧客情報の活用までをデジタル化できる、オールインワン型のオンライン予約システムです。オプションを追加すれば、予約を受付する際のクレジット決済にも対応できます。

リザエンは200以上の業種に対応し、多くの企業のDX化をサポートしてきた実績豊富なシステムです。以下では、リザエンを活用してDX化に成功した企業の事例を紹介します。

予約管理システム「リザエン」の詳細はこちら

5-1. Web予約の導入

リザエンを活用すると店舗に合うスタイルで、Web予約システムを導入できます。以下は、来場者の増加に備える目的でリザエンを活用し、Web予約に対応した企業の例です。

◆ニッカウヰスキー株式会社のニッカウヰスキー余市蒸溜所予約

ニッカウヰスキー株式会社ではリザエンによるWeb予約システムを導入したことで、見学希望者が好きな時間帯にスマホやパソコンから予約できる環境を整備しました。合わせてWeb・電話によって受け付けた予約をシステム上で一元管理する仕組みも構築し、業務効率化につなげています。

ニッカウヰスキー株式会社様

ニッカウヰスキー株式会社には独自の予約受付フローがあったため、既存のシステムをカスタマイズして、Web予約への対応体制を構築しました。結果として予約受付業務の負担を大幅に軽減でき、来場者の増加に無理なく対応できています。

5-2. SMS通知で電話予約に対応

リザエンでは専門のエンジニアが丁寧に要望をヒアリングした上、個別にカスタマイズした予約システムを提供できます。以下は、カスタマイズした予約システムにより店舗の課題を解決した企業の例です。

◆株式会社オプテージのmineo店舗予約

株式会社オプテージでは、店頭のみで対応していた予約受付をWebや電話経由で行うためにリザエンを導入しました。導入したシステムには、株式会社オプテージの要望に沿ってSMSへの通知機能や複数店舗の予約状況を効率的に管理する仕組みを追加しています。

株式会社オプテージ様

リザエンはASPであるからこそ初期費用を抑えつつ、個別の要望への柔軟な対応が可能です。株式会社オプテージの場合は予約管理機能や予約通知機能のカスタマイズを行うことで、自店舗の体制に合う予約システムの導入に成功しました。

5-3. 料金計算・領収書発行を一元化

リザエンを導入すると、在庫管理の徹底や営業時間外の予約受付体制の整備も行えます。以下は、リザエンを活用して予約受付業務を一新し、サービスの向上につなげた企業の例です。

◆中央アルプス観光株式会社のキャンプ場予約

中央アルプス観光株式会社では、予約受付ルートを拡大するとともに在庫管理を徹底する狙いを持ち、リザエンを導入しました。導入したシステムには個別のカスタマイズによって、時期によって変動する料金体系に対応する機能や領収書の自動作成機能を追加しています。

中央アルプス観光株式会社様

料金計算や領収書の発行を自動化すると、予約受付業務を担当する従業員の負担を大幅に軽減することが可能です。中央アルプス観光株式会社ではリザエンの導入により、業務効率化とサービスの質向上を同時に実現しました。

まとめ

店舗DXは、人手不足やデジタル時代のニーズに対応する革新的な取り組みです。導入には多くのメリットがありますが、コストや時間がかかるデメリットも忘れてはなりません。効果的な店舗DXの実現には、慎重な計画と適切な人材の育成が必要です。

リザエンは、予約の受付・管理から顧客情報の活用までデジタルで行える予約システムです。店舗DXの推進には、予約システムの活用が欠かせません。リザエンでは、1か月の無料トライアルに対応しているので、ぜひご気軽にお問い合わせください。

リザエンの予約システム 1か月無料トライアルはこちら

監修者

リザエン営業企画部
リザエン営業企画部のメンバーが監修する予約システムの最新情報やノウハウなどのお役立ち情報をお届けするコラムです。
予約管理業務の効率化に悩む企業のご担当の方に、おすすめ製品やニュース、予約システムの導入事例などのご紹介もしておりますので、ぜひ本コラムをご活用ください。

予約システムについてもっと知りたい方はこちらをチェック!

本コラムを読んでご興味をお持ちいただけましたら、ホワイトペーパーをご確認下さい。
様々な検討ステージのお客様に向けて、幅広く知識やノウハウをまとめた資料をご提供いたします。